ピン・リベット・シャフトの違いとは?
こちらのお写真の中で、どれがピンか、リベットか、シャフトか、皆さんはわかりますか?
当サイトでは、左から順にリベット、シャフト、ピンとして掲載しています。しかし当社に注文をいただく際には、「本当のところはシャフトだけど、ピンとして図面に記載がある」というケースも多々ございます。つまり、答えは各社ごとによって異なります。
そこで今回は、混同されがちなピン・シャフト・リベットのそれぞれの形状や機能、加工方法の違いから、当社だからこそ可能な規格外のピン・シャフト・リベット製造におけるポイント、実際に当社で製作した特殊締結部品の製品事例まで、詳しくご紹介いたします。
ピンとは?
「ピン」は、部品を固定したり、移動をコントロールしたりするために使用されます。ピンを使うことで、製品の正確な組み立てや動作が可能となります。ピンは、多くの業界で広く使用されており、最終製品も多岐にわたります。それに合わせて、工業・産業用ピンの設計、素材、種類も異なり、それぞれのニーズに合わせた特性が求められます。
ピンの種類
ピンは、用途に応じて様々な種類が存在し、業界や業種、お客様ごとに呼称は多種多様です。製品に求められる機能を満たすために、最適なピンを選ぶことが製品の品質と信頼性を高めるためのカギとなります。
ピンの種類 | 説明 |
段付きピン | 一部に段差があり、位置決めや固定に使われるピン |
ノックピン | 固定された場所にノック(打ち込む)して使用するピン |
ロットピン | 細長い形状で、さまざまな部品の連結や固定に使用されるピン |
圧入ピン | 圧力をかけて挿入することで固定されるピン |
溝付きピン | 溝があり、回転防止や位置決めに使用されるピン |
頭付きピン | 頭部形状がついているピン |
つば付きピン | つばがついているピン |
中ツバピン | 中央にツバがついているピン |
ローレットピン | 表面にローレット加工が施されており、滑りにくく固定力が高いピン。 |
クレビスピン | 接続部品として使用され、ピンの一端に穴が開いているピン |
ヒンジピン | ヒンジ(蝶番)部分に使用され、回転運動を可能にするピン |
位置決めピン (ガイドピン) |
部品や素材の位置を正確に決めるために使用されるピン |
固定ピン | 部品を固定するために使用される基本的なピン |
製品事例:中ツバ段付きピン
こちらは墜落防止機器向けのバックルに使用されております中ツバ段付きピンです。
お客様では以前、棒材から全切削で量産されていた製品とのことでしたが、コストダウンをご希望されて、当社までご相談いただきました。
材質はSUSXM-7系のため、細軸を絞り可能な部分まで金型で成形し、二次加工切削で仕上げております。切削図面からの形状、公差もほぼ変更せずにニアネットシェイプが出来た製品です。結果として全切削からの工法転換でコストダウンを実現することができました。
リベットとは?
「リベット」とは、鋼やステンレス鋼、アルミニウム、銅などの金属から作られる締結部品の一種です。リベット全体は円柱状で、片側にやや直径の大きい頭部が付いています。リベットは、対象物の穴に通したあと、反対側をかしめる(つぶす)ことで固定するために使用されます。そしてリベットは、ネジ・ボルトやナットと異なり、容易には取り外しができず、「半永久的な締結」に使用されます。このような特徴からリベットは、溶接と同様に、あらゆる場所で構造の強度を保つために広く使用されています。
製品事例:大頭ローレットリベット
こちらは自動車向けの大頭ローレットリベットです。
頭の大きさに対して軸が細い製品になっています。また、こちらの商品は樹脂にインサートされるため軸部にアヤメローレット加工を施しており、相手材とのかみ合わせを良くしています。平目ローレットではなくアヤメローレットにすることで樹脂との設置面積が増え噛み込みやすく外れにくいという性質があります。また、軸部が短いため転造の工法に弊社のノウハウが詰まっています。
シャフトとは?
「シャフト」とは、主に回転機能を持つ締結部品のことを指します。形状は様々であり、用途に応じて異なる設計が施されます。シャフトは熱処理を施すことで、耐摩耗性を向上させて使用されることが多くなります。またシャフトは、精度を高めるために研磨が施される場合もあります。
シャフトは回転機能が求められるため、回転部分の中心・センターに位置していることが一般的です。
製品事例:クロス小判頭スリットシャフト
こちらは墜落制止用器具(安全ベルト)の巻取器に採用されているクロス小判頭段付きスリ割り付きピンです。頭部形状は小判形状で、その下の段部も小判形状と”クロス小判形状”になっております。またスリ割り溝はMCによるフライス及びバリ取り加工を採用しており、専用治具を使用して位相も確実に合わせることで、多数個取りも可能にしているため、大量生産対応が可能です。
ピン・リベット・シャフトの違いとは?
ここまで、ピン・リベット・シャフトのそれぞれをご説明しましたが、改めて違いを整理いたします。
締結部品 | 形状 | 機能 | 備考 |
ピン | 円柱形状で頭部無し | 部品の固定や位置決め | 取り外しや再利用が用意 |
リベット | 円柱形状で片側に大きな頭部付き | 対象物を穴に通して固定 | 半永久的に締結可能。取り外しは難しい |
シャフト | 段付きなど様々な形状 | 回転機能を持ち、機械の動力を伝達 | 熱処理や研磨で耐摩
耗性・精度向上 |
上記の表からも分かるように、ピンは頭部がなく、部品の固定や位置決めに使用されます。形状としてもシンプルな円柱形であり、取り外しや再利用が容易です。
一方、リベットは頭部があり、対象物の穴に通して反対側をかしめることで固定してます。取り外しが難しく、半永久的な締結に利用されます。
最後に、シャフトは回転機能を持つ部品で、機械の動力を伝達する役割を果たします。形状は様々あり、特に段付きの形状が多いのが特徴です。これにより、効率的に力を伝達し、機械や装置内でスムーズな動作を実現します。シャフトは熱処理や研磨を施すことで耐摩耗性や精度を向上させることが一般的です。
上記のようにピン・リベット・シャフトには違いがあり、それぞれの部品は特定の役割を果たすために設計されています。そのため締結部品を調達や設計する際は、「用途に応じて最適な締結部品の種類及び工法の選択」が求められます。
ピン・リベット・シャフトの加工方法
ピン、リベット、シャフト、用途によって求められる機能や必要となる形状が異なるため、加工方法も異なってきます。ここでは、ピン・リベット・シャフト、それぞれの加工方法について説明いたします。
ピンの加工方法
ピンの加工方法としては、圧造から始まり、その後切削加工を行い、最後に表面処理を施すことが多くなります。上記の通り、ピンは部品の固定や位置決めに使用され、形状としてもシンプルな円柱形で、取り外しや再利用が容易なものです。そのため、圧造でおおよその円柱形上で製作を行ったうえで、必要な機能に応じて追加工や表面処理が施されます。
ピンの切削加工においては、旋盤加工やフライス加工が行われ、溝加工も切削加工にて行われます。さらに、表面処理や熱処理を行うことで、強度を高めたり耐摩耗性を向上させるケースもあります。
リベットの加工方法
リベットの加工方法は、ピンと同じように圧造から始まり、形状に合わせて切削や転造加工、最後に表面処理が行われます。リベットは、かしめて固定する機能を果たすために、頭部があり、また中空製品も多くなります。このおおよその形状を圧造加工にて製作し、ピンと同様に溝や先端形状を加工する際に切削や転造にて追加工を行い、求められる強度や耐久性に合わせて表面処理を行います。
シャフトの加工方法
シャフトの加工方法は、圧造 ⇒ 追加工 ⇒ 熱処理 ⇒ 研磨 ⇒ 表面処理という工程が多くなります。シャフトは回転機能を持つため、耐摩耗性や精度が特に求められます。そのため、熱処理や調質工程で硬度や強度を向上させた後に、研磨工程で最終仕上げ加工を行う工程が取られています。
このように、ピン・リベット・シャフトで加工方法はおおよそ近くなりますが、その製品の必要な機能に応じて追加工が必要になったり、表面処理や研磨工程も必要になってきます。
規格外のピン・リベット・シャフトを製作依頼する際のポイント
規格外のピン、リベット、シャフトを製作依頼する際のポイントは、大きく3点です。
機能の明確化
冒頭にも記載いたしましたが、各社ごとによって製品の呼び名は異なります。そのため、一般的にはシャフトは回転機構があるものとされますが、実質的にはピンとしての使用方法がされている、というケースもあります。このような場合に、必要がない表面処理工程を入れてもオーバースペックとなってしまうため、実は不要な工程があり無駄にコストがかかって見積りが出てきている、という可能性もあります。
そのため、ピンやリベット・シャフトをサプライヤーに製作依頼する際は、図面での寸法指定や工法指定以上に、「どのような用途で使われる製品だから、どのような機能が必要」、という点を明確にする必要があります。
当サイトを運営する太陽精工株式会社は、「目利き力」で最適なご提案をする冷間圧造加工のプロフェッショナル集団です。お客様のご要望に合わせて、最適な工法提案をいたします。
機能に応じた製品の設計提案
機能に合わせて必要な形状や表面処理は異なりますが、実はオーバースペックになっていたり、逆によりよい形状や工法があるのにも関わらず、従来通りの図面のまま製作されている、という特殊ピン・リベット・シャフトのご依頼をいただくこともあります。
そのため、ただ図面通りに製作してもらうか、または別の角度から製品の形状や精度に関して提案があるかどうか、という点は特殊締結部品を依頼する際には、サプライヤー選定において重要な指標の1つと言えます。
当社では、様々な技術提案を行っており、コストダウンや品質向上などの付加価値を生んでおります。
様々な加工方法への対応力
機能によって、必要な加工方法は異なります。ピン・リベット・シャフトについては、おおよその形状は冷間圧造加工によって製作されますが、細かな機能要求を満たすには、切削加工や転造加工、熱処理、研磨、表面処理、めっき、コーティング等の後工程への対応力が重要となります。
当社では、ヘッダー加工や2ダイ3ブローといった冷間圧造加工によるニアネットシェイプ加工はもちろんのこと、切削加工、転造加工、ローレット加工、緩み止め、表面処理、その他加工についても、幅広く対応しております。
規格外のピン・リベット・シャフトの製作は「太陽精工」にお任せ!
当社は自動車・自転車・弱電製品向け部品としてユーザー様からのハイレベルな要求に応え続けられる技術力があります。主力設備の2ダイ3ブローで積み重ねてきた技術とその実績をベースにした設計力と応用力でお客様に最適な締結部品をご提供いたします。
また、「対応力」の面でも当社は、高機能かつ高品質の締結部品をタイムリーにお客様に供給することで、お客様の満足度を追求しております。工法転換、材料変更はもちろんのこと、光沢性のあるメッキや頭部塗装のような特殊表面処理にも対応しております。
特殊ネジ カスタム部品製造.comでは、創業以来積み重ねてきた冷間圧造技術のノウハウと、オリジナリティ溢れる金型設計力、ネジ・リベット・ナットの幅広い調達ネットワークにより、多種多様な特殊締結部品の製造を、試作開発から量産までトータルサポートいたします。積極的なVA/VEによる技術提案により、お客様のニーズにお応えいたします。
◆私たちは冷間圧造を中心として特殊ネジ カスタム部品の製造を得意としております。特に、「目利き力」でお客様の求める製品の最適な製造方法をご提案させていただきます。実際、工法転換や材質変更などによる大幅なコストダウンを実現した事例が多数ございます!
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