真鍮製の締結部品をアルミ圧造品へ切り替えた時のメリットとは?
海外市場向け製品に欠かせない真鍮(C3604)の締結部品。しかし、RoHS2指令をはじめとする環境規制の強化と、鉛フリー真鍮への切り替えに伴うコスト増が、多くの設計者の頭を悩ませています。本コラムでは、真鍮からアルミへの「材質転換」と、それを可能にする「2ダイ3ブロー圧造技術」による解決策を徹底解説します。単なる規制対応に留まらず、アルミ化による軽量化と、切削から圧造への工法変換による劇的なコストダウンを同時に実現する秘訣とは?太陽精工が誇る独自のノウハウと、実際の成功事例を交えてご紹介します。
真鍮とは?
真鍮(黄銅)は、銅と亜鉛の合金であり、古くから締結部品や精密機械部品の主要材料として重宝されてきました。特に「C3604(快削黄銅)」は、その名の通り極めて優れた被削性を持ち、複雑な形状のネジやボルトを切削加工で高速かつ高精度に量産するのに適しています。適度な強度と耐食性を併せ持ち、さらに導電性にも優れるため、端子類や住宅設備、自動車部品など、多岐にわたる産業分野で「標準的な金属」としての地位を確立してきました。
しかし、その優れた加工性を支えているのは、材料中に添加された少量の「鉛(Pb)」です。鉛がチップブレーカー(切り屑を細かく分断する役割)として機能することで、滑らかな仕上がりと刃物の長寿命化を実現しています。この「鉛の存在」こそが、現在、グローバル市場において真鍮部品が直面している最大の課題となっています。
| 特性項目 | 真鍮 (C3604) | 鉛フリー真鍮 | アルミ合金 (A5056等) |
| 被削性(切削のしやすさ) | ◎ 極めて良好 | △ 低下(工具摩耗大) | 〇 良好 |
| 冷間圧造性(成形性) | 〇 普通 | △ 硬く割れやすい | ◎ 良好(条件による) |
| 比重(軽さ) | 8.5 (重い) | 8.5 (重い) | 2.7 (極めて軽い) |
| 耐食性 | 〇 良好 | 〇 良好 | ◎ 表面処理で非常に高い |
| 環境規制対応 | △ 適用除外頼み | ◎ 適合 | ◎ 適合 |
真鍮を取り巻く、海外市場における環境規制
現在、欧州を起点としたRoHS2指令やREACH規則により、製品に含まれる有害物質への監視はかつてないほど厳しくなっています。特に真鍮に含まれる「鉛」については、これまで「適用除外(4wt%までの含有を許容)」というルールに守られてきました。しかし、この除外規定はあくまで時限的なものであり、将来的な撤廃やさらなる制限の強化が常に議論の遡上に載っています。
北米や中国市場においても同様の動きが加速しており、大手グローバルメーカーは「将来の規制リスク」を回避するため、サプライチェーン全体に対して鉛フリー化を強く要求し始めています。ここで多くの設計者が選択するのが「鉛フリー真鍮」への置換ですが、これはあくまで「守り」の対策に過ぎません。鉛フリー真鍮は従来のC3604に比べて材料単価が高く、かつ加工性が悪いため、製造コストの大幅な上昇を招くという新たなリスクを孕んでいます。
真鍮製の締結部品をアルミ圧造品へ切り替えた時のメリットとは?
真鍮からアルミへ材質を転換し、かつ「切削」から「圧造(ヘッダー加工)」へ工法を変えることで得られるメリットは、単なる環境規制への適合に留まりません。
第一のメリットは「圧倒的な軽量化」です。アルミの比重は真鍮の約3分の1であり、ネジ1本1本の差異は小さくとも、製品全体、あるいは数万個単位の輸送コストで見れば、劇的なカーボンニュートラルへの貢献とコストダウンに直結します。
第二に「材料価格の安定性と歩留まりの向上」が挙げられます。銅相場に左右されやすい真鍮に対し、アルミは供給が安定しており、さらに切削クズ(キリコ)を出さない圧造加工を採用することで、材料ロスを極限まで抑えることが可能です。
第三に「表面処理による機能付加」です。アルミはアルマイト処理によって、真鍮では困難な多彩なカラーリングや、絶縁性の付与、耐食性の飛躍的な向上が可能です。これにより、意匠性が求められる筐体部品や、過酷な環境下で使用される車載部品等において、新たな付加価値を生み出します。
2ダイ3ブローであれば真鍮切削品をアルミ圧造品への材質転換も可能に
アルミ材は真鍮に比べて変形能(塑性流動性)が独特であり、一般的な「1ダイ2ブロー(1つの金型で2回叩く)」の圧造機では、複雑な段付き形状や大きな頭部を持つ部品を成形しようとすると、材料が耐えきれず「割れ」や「肌荒れ」が発生することがあります。そのため、多くの加工メーカーでは「アルミでの複雑形状は切削でしか対応できない」と判断されがちです。
ここで突破口となるのが「2ダイ3ブロー」の技術です。2つの金型と3回の打撃工程を駆使することで、材料に過度な負荷をかけず、段階的に形状を整えていくことが可能になります。これにより、従来は真鍮の切削加工でしか作れなかった「大きな頭部を持つボルト」や「複雑な多段形状のピン」を、アルミ材を用いた圧造加工で実現できるようになります。切削から圧造への工法転換は、生産スピードを数十倍に跳ね上げ、加工コストを劇的に引き下げる「真のコストダウン」を可能にします。
太陽精工だからこそ可能な真鍮 ⇒ アルミの材質転換と冷間圧造加工
私たち太陽精工は、長年にわたり多様な材質の冷間圧造に向き合ってきました。特にアルミ材の2ダイ3ブロー加工においては、金型設計から自社で行うことで、アルミ特有の「かじり」や「成形限界」を熟知した独自のノウハウを蓄積しています。
単に言われた通りの図面を形にするだけでなく、お客様が現在真鍮の切削で作られている図面に対し、「アルミ圧造で再現するための形状最適化提案(VA/VE提案)」を行えるのが当社の強みです。海外向けの厳しい品質基準をクリアしつつ、環境規制(鉛フリー)とコストダウンの二兎を追う設計者様にとって、当社は単なる加工先ではなく、戦略的パートナーとしての価値を提供いたします。
真鍮切削からアルミ圧造への工法変換によるコストダウン成功事例
ある大手電機メーカー様では、海外輸出向けの通信機器に使用する真鍮製の特殊段付きネジ(C3604)において、RoHS指令への完全対応と、銅価格高騰に伴うコスト上昇が大きな課題となっていました。
当社はこの課題に対し、材質を「真鍮」から「アルミ合金(A5056)」へ変更し、さらに工法を「切削」から「2ダイ3ブロー圧造」へ転換する提案を行いました。当初、お客様はアルミの強度と電食、そして複雑な段付き形状の再現性を懸念されていましたが、当社の試作試験と表面処理(アルマイト)の選定により、それらの懸念をすべて払拭。結果として、環境規制をクリアしただけでなく、製品単価を約50%削減することに成功しました。
真鍮製の締結部品の材質転換のことならお任せ
「現在の真鍮部品を鉛フリー化しなければならないが、コストアップは避けたい」「真鍮からアルミへの切り替えを検討しているが、技術的な壁にぶつかっている」。そのような悩みをお持ちの設計・開発担当者様は、ぜひ一度当社にご相談ください。
2ダイ3ブローを駆使した高度な冷間圧造技術と、数多くの材質転換実績に基づき、貴社の製品競争力を高める最適なソリューションを提案いたします。試作1個から、月産数百万個の量産まで、環境規制を追い風に変えるモノづくりをサポートいたします。
◆特殊ネジ カスタム部品製造.comは、冷間圧造技術のノウハウと、オリジナリティ溢れる金型設計力、幅広い調達ネットワーク、そして積極的なVA/VEによる技術提案を行い、多種多様な特殊締結部品の製造を、試作開発から量産までトータルサポートさせていただきます!
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