中ツバボルトとは?用途から加工方法、特殊形状の製作ポイントまでご紹介!

ツバ付き部品の中でも、片側または両側にネジ山が立っているものを、中ツバボルトと呼びます。中ツバボルトはフランジボルトとは異なり、中ツバ部分を起点に両端で用途が変わることが多く、また中ツバ部分もインサートやボルト固定時に機能付加されることが多い製品です。そのため、両端で径が異なったり、ツバの厚さや形状も様々で、どのように機能付加された形状を加工するかがポイントです。

ここでは、ツバ付き部品における中ツバボルトの特徴や用途から、特殊中ツバボルトを製作する上でのポイント、そして実際に当社で製作した中ツバボルトの製品事例まで、まとめてご紹介いたします。

 

ツバ付き部品とは?

ツバとは、一般的には刀や釜、帽子でよく言われる形状ですが、本体からはみ出た部分がツバと呼ばれることが多くなっています。

ネジやピン、リベットにおいても、ツバが付いた締結部品が多く存在しています。これらの締結部品は円筒形状をしていることが多いですが、円筒形状からはみ出したツバはフランジとも呼ばれています。

 

中ツバボルトとは?

ツバ付き部品の中でも、片側または両側にネジ山が立っているものを、中ツバボルトと呼びます。一般的に中ツバボルトは、ナットと一緒に使用されることが多いため、中ツバネジではなく、中ツバボルトと呼ばれることが多くなっています。上記の写真は、すべて当社で実際に製作した中ツバボルトです。詳細は本コラムの末尾にてご紹介いたします。

 

中ツバボルトとフランジボルトの違いとは?

 

先述の通り、ツバはフランジとも呼ばれるため、フランジボルトと中ツバボルトは非常に類似している製品と言えます。しかし一般的には、上写真のうち左を中ツバボルト、右をフランジボルトと呼ぶことが多くなっています。

フランジボルトの特徴としては、フランジ(ツバ部分)がネジの頭部形状の底面にあるという点があげられます。そしてフランジボルトは、ワッシャー(座金)の代わりにフランジ部分で接触面積を大きくして陥没を防いだり、着座面積が大きいことで緩み止め効果を持たせるため、機能的にも中ツバボルトとは分類されています。

 

中ツバボルトの用途

中ツバボルトの用途としては、主に下記の用途が挙げられます。

  • 中ツバ部分をインサート(部品に圧入)して、両側にネジを立てたい
  • ネジを締めた箇所にさらにネジを立てたい

中にツバがあるため、中ツバ部分を起点に両端で用途が変わることが多くなります。また中ツバ部分がインサートして使用されることも多いため、中ツバ部分が四角や六角に加工されている中ツバボルトも存在します。

 

中ツバボルトの加工方法

中ツバボルトの一般的な加工方法は、ヘッダー加工(2ダイ3ブロー)の場合は、絞ってからすえ込みという工程で大まかな中ツバ形状に加工します。その後、ネジを片方だけ、または両方にネジ山を立てるかによって、転造加工の工程が変わります。

さらに、両端に機能を付加するために、片方だけローレット加工を施したり、緩み止め機能を設けたり、四角やヘクサロビュラの形状にするなど、その加工方法は多岐にわたります。

 

特殊中ツバボルトを製作する上でのポイント

中ツバボルトは、両端や中ツバ部分に機能付加することが多く、特注品が多いネジの1つです。そして特殊締結部品の製造を数多く担っている当社において、実績が多い締結部品の1つでもあります。

中ツバボルトの特注品を製作する上でのポイントは、主に下記の通りです。

両端で径サイズが異なる中ツバボルト

中ツバボルトの中でも特に多いのが、片方はM4でもう片方がM6のように、中ツバの両端で径サイズが異なる特注中ツバボルトです。両端でサイズが同じ径であれば、1工程で転造加工することができます。一方で両端の径サイズが異なる場合、通常では2回転造を行わなければなりません。しかし当社では、転造加工の金型に独自の工夫を凝らすことで、両端で径サイズが異なる場合であっても1回で転造加工をすることができます。

また、中ツバ両端が同じ径であれば、ダブルヘッダーであれば1発で加工可能となります。しかし、中ツバ両端が異径の場合は、どうしてもダブルヘッダーでは加工することができず、多段フォーマーを使用する必要があります。しかし当社では、金型設計技術ノウハウを駆使することで、2ダイ3ブローで中ツバ形状の加工から両端の頭部形状のパンチ加工や絞り加工も実現いたします。この工程短縮により、中ツバボルトのコストダウンも実現いたします。

 

ツバ厚さが薄すぎるor厚すぎる中ツバボルト

ネジ部分ではなく、中ツバ部分が特殊なケースも多くございます。多いのは、ツバの厚さが極端に薄かったり、以上にツバが厚い特殊中ツバボルトです。中ツバ部分が薄いと、精度良く絞り加工やすえ込み加工を行うのが困難となるため、加工難易度が非常に高くなります。逆に中ツバ部分が厚すぎても、絞りとすえ込みの関係がアンバランスになってしまい、加工が困難となります。

加工前の線径とツバ部分の断面積の関係が1つの基準になりますが、お客様の中ツバボルトが現実的に製作可能かを判断しつつ、最適な加工方法を当社ではご提案しております。

 

中ツバ部分の径が大きい中ツバボルト

ネジ径と比較して、中ツバ部分の径が特に大きい中ツバボルトは、製作が困難な場合もございます。上記の通り、加工前の線径やツバ部分の断面積は、塑性加工であるヘッダー加工の際に、絞りやすえ込みを正確に計算する上で重要な指標となります。

当社では、材料ごとの絞り率などを踏まえた上で計算し、そもそもの中ツバボルト形状の製作可否をまずは判断いたします。

 

中ツバ部分が異形状の中ツバボルト

通常は中ツバ部分は断面積が円になりますが、用途によっては中ツバ部分が円ではない場合もあります。例えば、ツバの形状が四角や六角になっている中ツバボルトについては、当社でも数多くのご相談を受けております。

中ツバ部分が円ではなく角形状になることで、インサート時に中ツバ部分で回り止めの機能を発揮します。また、片側をネジに締め込んで固定する際に、中ツバボルト自体を回す必要がありますが、中ツバ部分が六角であればレンチを使って容易に取り付けることができるようになります。

 

両端に特殊形状の加工をした中ツバボルト

中ツバボルトは、中ツバ部分で切り分けて機能付加をすることができるネジです。そのため片方の頭部形状で四角やトルクス等の異形状加工を施したり、緩み止め機能を付加したり、中ツバボルトを加工するためには、ヘッダー加工や転造加工以外にも様々な加工方法に対応できる生産体制が必要になります。

当社では、社内でヘッダー加工や転造加工を行っていますが、工程短縮や異形状にも対応可能な独自の2ダイ3ブロー加工や、中ツバ両端を同時に加工可能かつ異径でも同時に加工可能な転造加工によって、他社でも対応可能な中ツバボルトであってもコストメリットを働かせることができます。さらに、ネジの追加工を行う協力会社とのネットワークを通じて、中ツバ両端に様々な機能を付加した特殊中ツバボルトの加工にも一貫対応いたします。当社の最も強みであるネジの目利き力によって、国内で厳選されたサプライヤーとの協力関係を構築しており、中ツバボルト以外にも様々な特殊ネジの加工に対応しております。

>>80社以上もの協力工場による、特殊ネジ加工ネットワークの構築 目利きの鋭い特殊ネジメーカーによる工程取り回しの一貫対応

 

中ツバボルトの事例紹介

続いて、実際に当社が製作した中ツバボルトの製品事例紹介です。

四角頭中ツバボルト(M6×P1.0)

こちらの製品の特長としては、電子ドラム/ハイハット部に使用されています。使用用途としては、パイプ連結の為に必要な製品となっています。そのため、頭部のバリ除去・R付けを行うことで連結時の引っ掛かり・角ばっていることでの電子機器の不具合等防止を図っています。また、外観的にも高級感のある表面処理を施しています。機能性・外観共にお客様に満足して頂けております。

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中ツバ両ねじ(E型ヘクサ)

こちらは自動車向け中ツバ両ねじ(E型ヘクサ)です。中ツバを境に両方にネジが付いている点と、緩み止め加工が施されている箇所、さらに表面処理にポイントがあります。まず中ツバにより2製品が連結できるようになり、片側は緩むことによってのリスクケアのためナイロック加工を施しています。また表面処理にジンロイを使用することで耐熱性を強化し、さらに三価クロメートをつけることで耐食性も併せ持った製品になっております。

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六角中ツバ両ネジスペーサー

こちらは自動車用インバーター締結に採用される六角中ツバ両ネジスペーサーです。

中ツバ六角形状に対し、上下に異なるネジサイズとなっています。そのため、ねじ転造をする際の供給が難しく、さらにお客様のご要望により不完全ネジ部も少なく、当社の転造技術を駆使した製品です。

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