段付きボルトとは?使い方から特殊段付きボルトの製作ポイントまで解説!
先端部はネジが切ってあり、ネジ部と頭部の間にある円頭部分の径がネジの呼び径よりも大きくなっている段付きボルト。段付きボルトの用途は多岐にわたりますが、その形状ゆえに、規格品よりも特注品の需要が多く、当社でも数多くの段付きボルトの製作を行ってきました。
ここでは、段付きボルトの概要や用途から、特殊ネジ カスタム部品製造だからこそ可能な段付きボルト、実際に当社で製作した段付きボルトの事例まで、まとめてご紹介いたします。
段付きボルトとは?
段付きボルトとは、その名の通り段付き形状のネジ・ボルトのことを指します。写真のように、先端部はネジが切ってあり、ネジ部と頭部の間にある円頭部分の径がネジの呼び径よりも大きくなっているのが特徴です。英語では”shoulder bolt”や”stepped bolt”と呼ばれています。
段付きボルトは、ボルト、カラー、ワッシャーと言う3点の部品が1つに一体化されたボルトです。そのため使い方・用途としては、ネジ部で相手部品と固定してカラーの代わりとなる円頭部でスペースを設けるために使用されたり、ネジ単体では強度が不足してしまうために円筒の胴部分で強度を補強したり、円筒部分をベアリングに組み込んで使用したり、様々な用途がございます。
このような用途のため、段付きボルトは主に自動車・二輪車・バイク・産業機械・電気機器などに使用されます。
特殊ネジ カスタム部品製造だからこそ可能な段付きボルト
当サイトを運営する太陽精工株式会社では、これまでに数多くの特注段付きボルトの製作を行ってまいりました。当社だからこそ可能な段付きボルトの特徴は、下記が一例として挙げられます。
メーカー規格外の特注段付きボルト
通常は、M6、M8のような規格の段付きボルトが使用されます。しかし先述のように、段付きボルトはボルト、カラー、ワッシャーが一体化されたボルトのため、ボルトの径やネジ部分が一部特殊だったり、軸部分の径や長さが特殊になると、すぐに規格品から外れてしまい、特殊段付きボルトになってしまいます。このように軸部分とネジ部分における径や長さが規格外の段付きボルト場合は、ネジメーカーに製造依頼をする必要があります。
当社では、独自の2ダイ3ブロー技術をベースとしたヘッダー加工や、転造加工、フォームローリング、様々な追加工により、メーカー規格外の特注段付きボルトの製作を行っております。下記はその参考例です。
- 胴部が長く、ネジ部が短い
- ネジ部が短寸
- 不完全ネジ部が非常に短い(1ピッチ以下)
- 段部分が高精度(ピン角)
- 横穴付き
また特注段付きボルトの場合、切削加工による追加工でどうしてもコストが高くなってしまっている場合も多いのが現状です。しかし当社では、切削加工から圧造加工への工法転換により、大幅にコスト削減をした事例も多数ございます。
様々な頭部形状への対応
径や長さの他に、頭部形状が特殊な段付きボルトがほしいというニーズもございます。下記はその一例です。
- 頭部が六角形状
- 頭部がナベ頭
- 頭部がトラス
- 頭部にフランジ付き
- 頭部に六角穴付
- 頭部に十字穴付き
- 頭部にヘクサロビュラ(トルクス)付き
- 頭部が低頭
当社のヘッダー加工技術は、国内外のメーカーからも評価が高く、お客様から選ばれる理由の1つでもあります。
多種多様な材質・メッキ・表面処理の特殊段付きボルト
段付きの形状自体は通常の規格品で材質が規格外という段付きボルトについても、当社で多くご相談をいただいております。材質については、合金鋼、ステンレス、アルミ、チタン、銅など、様々な材質の冷間圧造加工に対応しております。
またメッキや表面処理についても、当社独自のネットワークを駆使して、お客様のご要望に最も最適なメッキ・表面処理方法をご提案いたします。
不完全ネジ部が最小化された高精度段付きボルト
段付き形状かつネジ部が短い段付きボルトは、全体のバランスが悪く、転造加工でネジ山を加工すること自体の難易度が上がります。その上で不完全ネジ部を極力抑えなければいけない場合、転造加工に相応の工夫をしなければいけません。
当社では、このようなバランスが悪い段付きボルトであっても、不完全ネジ部を最小化する独自の転造加工によって、段形状のショルダー部のギリギリまでネジ山を立てることができます。不完全ネジ部を最小化した高精度段付きボルトへの対応力は、当社が国内大手メーカー様からも直接ご注文をいただくことができる理由の1つだと考えております。
軽量化された特殊段付きボルト
カーボンニュートラル実現に向け、エネルギー高効率化の観点より様々な部品での軽量化が求められています。ボルト等の締結部品もその例外ではありません。例えば30,000個の部品を要する自動車部品の中で、約2,000~3,000個が締結部品にあります。1本あたりの重量0.5gを軽量化させると、おおよそ車体重量1kgの軽量化につながることになります。このように材質による軽量化だけでなく形状による軽量化を考えていくことが、今後の課題になります。
段付きボルトにおいては、アルミに材料変更したり、袋穴で一部中空にするなどの工夫を施すことで、段付きボルトの軽量化を実現することができます。
基板スペーサーのコストダウン・不具合対策
電子部品において、筐体内では様々なプリント基板が階層構造の位置関係をなして組み込まれています。そこで基板間の位置関係を長さ寸法によって可変可能にする締結部品として、段付きボルトの一種である基板スペーサーが使われます。段付きボルトの段部をスペーサーの機能として使用することで、基板として活用することができます。代表的な形状としては、六角軸に雌ネジ、六角軸と反対側に雄ネジが組み合わさって付いているものが挙げられます。
基板スペーサーは一般的には六角のバー材からNC旋盤を用いて切削加工で仕上げられますので、割高な製品となります。しかし、特殊ネジ カスタム部品製造.comを運営する太陽精工では、このような形状のスペーサーを必要機能に応じて圧造+転造加工で仕上げることが可能です。形状に合わせてVA提案を行い、お客様に大きなコストメリットを還元することも可能となります。
段付きボルトの事例紹介
続いて、実際に当社が製作した段付きボルトの製品事例紹介です。
トラス六角穴付段付きねじ(M6×P1.0)
こちらは自動車向けのトラス六角穴付段付きねじです。
こちらの製品ポイントは、2段目の角をいかにピン角にできるのか、という点でした。ピン角でなければいけない理由としては、圧造でのダレによって締結した後のぐらつきを気にされるとのされるとのことでした。その為、金型設計時にダイス内での肉の動きをコントロールできるように緻密に設計しました。
座付きなべ頭段付きボルト(M4×P0.7)
こちらは自動車向けの座付きなべ頭段付きボルトです。
頭部形状がナベフランジになっており、ワッシャーと同じ働きをする頭部形状になっています。このことで着座面積が広くなり相手材に接触する際に過剰トルクをかけてしまった場合でもめり込むことがなくなります。その為、結果的に緩み止めの効果を発揮します。圧造の際も、ネジ下への絞り率が高いため、細い線径から軸部を太らせながら加工をしている製品です。また、胴部が長く、ネジ部が短いことで転造加工時のバランスが悪く、難易度の高い製品となっております。
フランジ付短寸ねじ(シートベルト用)
こちらは、自動車向けフランジ付短寸ねじ(シートベルト用)です。シートベルト向けの製品のため、組付けレイアウトが狭く、非常にネジ部の短い製品となっております。ネジ部が短寸である中で、不完全ネジ部が1ピッチ以下というお客様からのご要望もあり、非常に難易度の高い製品でした。しかし当社の水平転造機を使用することで、量産に成功した製品です。
六角穴付トラス頭段付きねじ(M6×P1.0)
こちらはモビリティ駆動部に使用されております、六角穴付トラス頭段付きねじです。
圧造にてブランクを製造した後に、切削→転造→熱処理→表面処理という、当社が得意なパターンの加工工程にて製造いたしました。また、こちらの製品は表面処理に特にこだわりをお持ちのお客様のご要望により、ハイニッケルの後にベーキング+コート付けを行うことで、高級感のある光沢に仕上がっています。
ボンド付き段付きボルト
こちらの製品は、モビリティ向けのボンド付き段付きボルトです。
加工ポイントとしては、不完全ねじ部が短いこと、十字穴が深いこと、追加工としてボンドを塗布し緩み止め加工を施している点が挙げられます。径も細いこともありますが軸部がそれ以上に長いのでネジを成型する際のダイスへの突入のタイミングが難しくなっております。
袋穴付段付アルミねじM6
こちらはモビリティ向けシフトレバー部に使用する 特殊ドライブ袋穴付段付アルミねじM6です。
お客様にて対象ボルトの取り外しができないように、特殊なドライブ形状(締付形状)が採用されています。当社では、この形状を特殊パンチにて加工いたしました。また軽量化のために素材はアルミを採用しており、更なる軽量化のために軸部を中空形状にしています。アルミを使用する締結ボルトは強度を心配されるお声も多いですが弊社ではアルミ専用の熱処理で硬度を出しつつ靭性を持たせる処理を行っております。
突起付きボルト(M10)
こちらの製品は、自動車向けの突起付きボルトです。M10と大きい製品で、座面裏に突起が4か所付いています。また、座面裏に2mmほどの段が付いています。こちらのボルトは自動車関係のため、めっき後ベーキング処理を行い、水素残存のリスクにも対応しております。
基板用スペーサー(M5×P0.8)
こちらは自動車向けの基板用スペーサーです。先端がM5のねじになっていて、頭部から製品中心部にかけてタップ加工にてM4の雌ネジが施されています。
なぜこういった形状になっているかというと、元々は別の部品を2つ用いて基板との間にスペースをとっていたそうですが、部品点数を一つにまとめたいとのことでした。形状面での打合せを行い本形状なら機能性にも問題がないことを確認・検証を行って頂き、量産スタートした製品となっております。
段付きボルトのことなら、特殊ネジ カスタム部品製造.comまで!
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