インサートカラーとは?
インサートとは、英語で”insert”と書き、挿入するという意味を持ちます。つまりインサートカラーは、合成樹脂素材にインサート成形することによって接合部を強化するカラーです。樹脂素材は金属素材よりも機械強度が低いため、樹脂製の筐体をボルトで締結する際に部品が潰れる可能性があります。そこで、素材間にインサートカラーを嵌め込むことで、ジョイント部分が外れることや潰れることを防止します。
その他のインサート関連の締結部品としては、インサートナットや、インサートボルトがあげられますが、これらのインサート金具を製作する際は、使用する方々の機能を考慮しつつ、必要な精度を決めるための事前打ち合わせや工法選定が重要となります。
今回は、そもそもの”インサート”の意味から、インサートカラーやその他インサート金具の概要、インサート金具の製作におけるポイント、さらに実際に当社で製作したインサートカラーの事例まで、まとめてご紹介いたします。
そもそも「インサート」とは?
インサートとは、英語で”insert”と書き、挿入するという意味を持ちます。工業用製品でインサートという際は、合成樹脂素材・プラスチックに金具を挿入することをインサートと呼びます。
インサート成形という言葉もありますが、これは射出成形等の成形時に金具を差し込み、成形時に金具を同時に埋め込む加工方法のことです。
後述するインサートナットやインサートカラーは、インサート成形する際 に成型用金型にセットされ、樹脂成形と同時に使用されるのが一般的です。そのため、樹脂成形メーカーでは部材と使用されるので、「金具」と呼ばれることも多いです。
インサートカラーとは?
インサートカラーは、「insert(挿入)」という名前の通り、合成樹脂素材にインサート成形することによって接合部を強化するカラーです。樹脂素材は金属素材よりも機械強度が低いため、樹脂製の筐体をボルトで締結する際に部品が潰れる可能性があります。そこで、素材間にインサートカラーを嵌め込むことで、ジョイント部分が外れることや潰れることを防止します。
近年、軽量化のニーズが高まり、従来の金属部品を樹脂製部品に変更する動きが進んでいます。この背景から、インサートカラーの需要も増加しています。インサートカラーは、自動車の電装部品や電池ケースの締結に使用されるほか、携帯電話やテレビ、冷蔵庫などの家電製品、さらには電車のような大きな製品にも幅広く利用されています。
その他の”インサート”製品について
その他のインサート関連の締結部品としては、インサートナットや、インサートボルトがあげられます。インサートナットは、樹脂などの直接ねじを切っても強度を持たせることが難しいような材質へ埋め込むナットであり、インサートボルトはそのボルト版です。
インサートカラーやインサートナットの用途は、自動車、自転車、弱電、設備などの様々な業界に向けて使用されます。これらのインサート締結部品が増加している背景には、軽量化や形状の複雑化が進む中で、製品の樹脂化が進んでいることが影響しています。
特にスーパーエンプラ等の高強度樹脂の開発が進んでいますが、高強度樹脂でも製品同士を締結する箇所、シャフト等の軸物
が摺動、嵌合する箇所では、強度や耐久性で規格を満足できないことが多々あります。そこで、インサートナット、インサートカラー、スペーサーが補強代わりに使用されます。
インサートカラー・インサートナットの製作におけるポイント
インサートナットやインサートカラー等のインサート金具の製作におけるポイントとしては、下記のとおりです。
・エンドユーザー:アセンブリ後の最終製品での必要機能の充足
・成形メーカー:成形用金型や設備の精度を考慮する
・相手材を考慮した精度設計と工法選定
・精度を見極めるための事前打合せ
インサートナットやインサートカラー等のインサート金具は、最終メーカーとなるエンドユーザーが形状や寸法を設計するのが一般的です。その際の設計のポイントは、アセンブリ後の最終製品での必要機能を充足させることにあります。
一方、成形メーカーはインサート金具をインサート成形時に使用します。そのため成形メーカーに向けたインサート金具の製作ポイントとしては、成形用金型や設備の精度を考慮する点にあります。インサート金具と金型のクリアランス、ガタを考慮しなければ、射出成形金型の破損や不具合による製品の歩留まりの低下(ショートショット、樹脂漏れによりバリ)につながる可能性があります。特にインサート成形で特に重要な寸法は、内径精度、L寸精度です。
インサートナットの場合は、フォーマー加工により内径及びL寸精度を上げることは可能です。しかし、雌ねじタップ後の内径精度が高くないため、インサート成形をする際に雌ねじタップ後の内径を基準に成形する事はお勧めしません。
そのため、インサートナットで内径精度が必要な際は、バー材からの全切削加工をお勧めしております。全切削加工でインサートナットを製作する場合は、雌ねじ加工後にリーマ加工をすることも可能で、内径精度 0.03 の公差レンジで仕上げることも出来ます。
ただ、闇雲にインサート金具の部品精度を上げると、加工工程そのものを見直す必要が出てきて、大幅なコストアップまた生産能力の限界につながる可能性もあります。たとえば、精度をあげるために二次切削工程を追加しなければいけなかったり、またはバー材からのオール切削にてインサート金具を製作する方法が考えられます。そのためインサート金具を製作依頼する際には、インサート金具に必要な精度を見極めるための事前打合せが重要となります。
当社は、メーカーとの直需対応を行ってきた実績をもとに、事前のお打合せをタイミングよく実施することで、インサート金具の加工工程の特性を考慮した、最適な加工方法また形状や適切な寸法公差をご提示することができます。
インサートカラーの製品事例のご紹介!
続いて、実際に当社で製作したインサートカラーの製品事例をご紹介いたします。
ツバ付き高精度インサートカラー
こちらは、樹脂に成形されるツバ付き高精度インサートカラーです。内径では相手軸が摺動するため、公差レンジ0.02と非常に厳しく、メッキ膜厚もコントロールが必要な製品でした。
スペーサー
最近の自動車業界は部品点数の増加から、部品同士の間にスペースが無駄な空くことから、スペーサーの需要が高まっています。制御機器付近に使用されるために耐熱性が重要となりますが、本製品のように高さを上げることによって熱の滞留を避けることが可能となります。
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