『特殊セムスネジ』を使用するメリットとは？

技術情報

今回は「特殊セムスネジ」を使用するメリットについてご紹介いたします。

特殊セムスネジには様々なメリットがございます。大量ロットが必須条件と思われがちですが、月100万個以上であれば特殊のセムスネジでもそこまで割高にはなりません。

また、ロットが少ない場合は切削で対応することもできます。そんな特殊セムスネジのメリットを本記事では詳しく解説しております。

セムスネジとは

セムスネジとはねじ山を転造で製造する前に、座金をあらかじめネジに組み込んだネジです。この座組により、回転時にネジを締めると同時に、材料表面に力を加えて滑り止め効果をもたらします。このようにセムスネジは一度固定されると、外れにくくなる利点があります。

今回はそのようなセムスネジの中でも特注の特殊セムスネジについて、使用するメリットなどについて詳しく解説します！

特殊セムスネジとは

特殊セムスネジとは、規格品ではなく用途に合わせて座組のサイズや材質を最適なものに変更したセムスネジのことを指します。

このような、ワッシャーは本来規格品として大量ロットでの生産がされています。一般的にはおよそ数100万とされています。
規格品の採用が難しい場合には特注品を検討されるかと思いますが、特注品を製造するにあたってはある程度まとまった数量が必要なケースが多いです。
上記で述べていることから、特注品の特殊セムスネを作ることが難しいとお思いなるかもしれませんが、特注品、特殊セムスネジの製造は可能です。

ただ、通常の規格品のワッシャーを製造する加工単価よりは割高になってしまいます。しかし、およそ月100万個以上であればそこまで割高になることはございません。

また、数量が纏まっていない等であれば切削で行うというのも一つの手です。

特殊セムスネジを使用するメリットとは

メリット①：用途に合わせた座金の選択が可能

まず一つ目のメリットは、用途に合わせた座組の選択が可能という点です。相手物が薄い場合は、サイズの大きいワッシャーをしようするなど、相手物や用途に合わせて座組を変更することができます。

用途や相手物に適していない規格品のセムスネジを使用した場合、劣化が進行が早かったり、緩み止めといった機能がただしく効果を発揮しなかったりする場合があります。

メリット②：フランジ付きのネジやボルトよりも割安

フランジ付きは大きさ・形状により圧造成形の据え込み率が大きくなることで加工単価が上がります。しかし、特殊セムスでは圧造成形はほぼ規格品と同じで、後付けのワッシャーが特殊となるために加工単価は下がるため、比較的フランジ形状よりも特殊セムス形状の方が結果的に安価になります。

メリット③：高いトルクで締め付けが可能

特殊セムスネジは、上記でご紹介したように、用途や相手材に合わせた座組を選択することができます。

そのため、通常のセムスネジよりも更にゆるみ止め等の効果を高めることができます。具体的には、ワッシャーのサイズを変更することで座面を大きくし、相手物との接地面を大きくしたり、密着性を高めたりすることで、高いトルクで締め付けが可能です。特にばねワッシャーを使用すると上記のような効果が期待できます。

その他、ワッシャーを2枚組にする方法も効果的です。

特殊セムスネジの事例紹介

続いて、実際に当社が製作した特殊セムスネジの製品事例紹介です。

六角ナベ頭セムスねじ（M5×P0.8）

単純なセムスボルトに見えますが、六角穴をツバ厚み近くまで深く打ち込んでおり、頭部形状を丸形状に維持できていることが特徴です。また、座金には特殊鋼を使用しているため、座金組込み転造後の熱処理も可能です。表面処理はスズコバルトメッキのため、外観もキレイに仕上がっています。

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ナベ頭Wセムス（M5×P0.8）

こちらはナベ頭wセムスです。こちらの商品の特徴としては、ワッシャーが2枚組み込まれている箇所になります。1枚は平ワッシャーで、座面との設置幅を大きくする意図があります。もう1枚はスプリングワッシャーで、反発する力を利用し、緩み止め効果を発揮します。そのためワッシャーが1枚のセムスねじと比較して緩みにくくなっています。

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