基板スペーサーとは?プリント基板への使い方や機能を徹底解説!
基板スペーサーとは?プリント基板への使い方を解説
自動車、家電製品、FA製品等の組立製品では高性能化、脱炭素化に伴い電子部品の装着が急速に進んでおります。電子部品が増加するにつれて、それらを締結するために使用されるネジやナット等の締結部品の使用数も増加しています。
締結部品の中でも基板に用いられるスペーサーの需要は高まっています。基板スペーサーとは、階層構造を成すプリント基板同士の間に空間(スペース)を設け、放熱対策として使用する締結部品です。基板上にある電子部品や、回路基板の間に間隔を作ることで、空気の循環を促進し放熱性を向上させ、電気的な干渉を防止する役割を担っています。基板スペーサーには樹脂製品もありますが、当社は金属製の基板スペーサーを製造しております。

また、基板スペーサーは放熱・絶縁だけでなく、部品点数削減にも活用されています。従来、ボルトとナットなど複数部品を組み合わせて基板間の位置決めを行っていた構成を、雄ネジと雌ネジを一体化したコンビネーション形状に設計変更(VA/VE提案)することで、2部品を1部品に統合し、組立工数の削減につなげた事例もあります。
基板スペーサーにはどのような種類があるか?
基板スペーサーの種類は、材質(金属・樹脂)と形状(六角・丸型×ネジの組み合わせ)によって分類されます。
材質面では大きく金属製と樹脂製に分かれます。金属製はステンレス、低炭素鋼、アルミ、真鍮、チタンなど幅広い材質に対応可能で、強度や導電性が求められる箇所に適しています。樹脂製はジュラコン、ナイロン、PTFE、PBT、PPSなどのエンジニアリングプラスチックが用いられ、軽量化や絶縁性、耐薬品性を目的に選ばれる傾向があります。導電性が重要な用途では真鍮、絶縁性を重視する場合は樹脂、耐食性を重視する場合はステンレスが選ばれることが多いです。
形状面では、六角軸の一方に雌ネジ、もう一方に雄ネジを備えたコンビネーションタイプが代表的です。当社では軸径φ2〜φ12mm、軸長さ1mm〜80mmの範囲で幅広く対応しており、中ツバ付きの両ネジタイプなど複雑な複合形状にも自社と協力工場のネットワークで対応しています。
>>基板スペーサー製品ページ(サイズ・対応形状一覧)はこちら
基板スペーサーに求められるものとは?
当社が製造するにあたり、お客様から求められるものは大きく3点です。
①コストダウン
電子部品の筐体内では、様々なプリント基板が階層構造となる位置関係で組み込まれています。そこで、基板間の位置関係を長さ寸法によって調整可能にする締結部品として、基板スペーサーが使われます。代表的な形状としては、六角軸に雌ねじの形状と、六角軸と反対側に雄ねじを備えた形状です。基板スペーサーは一般的には六角のバー材からNC旋盤による切削加工で仕上げられるため、コストが高くなる傾向があります。しかし、特殊ネジ カスタム部品製造.comを運営する太陽精工では、このような形状のスペーサーを必要機能に応じて圧造+転造加工で製造することが可能です。形状に合わせたVA提案を行い、お客様に大きなコストメリットを還元いたします。
また、ねじ締結ではなくカシメ締結のスペーサーについても、当社の加工方法により大きくコストダウンした実績があります。当社の冷間圧造工法は、数量が多くなればなるほどコストメリットが高まりますので、お気軽にご相談ください。
②不具合対策
金属屑の混入は電子部品ショート等の通電不良に直結する大きな品質問題となるため、金属屑を発生させない対策や材質の選定が非常に重要です。取り外しの可能性がなく、しっかりと固定したい場合はタッピンねじが使用される場合が多いですが、タッピンねじは相手材を塑性変形させながら雌ねじを形成する構造上、切り粉の発生を完全にはなくせません。当社では基板スペーサーをタッピングスクリューで締結する場合、特殊なコーティング処理で金属屑の発生を制御できた実績が多数ございます。後加工として表面処理を施すのではなく、設計段階から材質特性を活かした特殊ネジを製造することで、最適なコストで高品質なネジをご提供することが可能です。金属屑・電食対策の詳細は、後述の「タッピングねじの金属屑によるショートはどう防ぐか?」で解説します。
③部品点数削減
ボルトとナットなど複数部品で位置決めをしていると、組立工数と管理の手間が増えます。雄ネジと雌ネジを組み合わせたコンビネーション形状への設計変更(VA/VE提案)により、2部品を1部品に一体化できる場合があります。自動車向けプリント基板用スペーサー(M5×P0.8)の事例では、先端のM5ねじと中心部のM4雌ネジを1部品に統合し、部品点数削減に成功しています。
タッピングねじの金属屑によるショートはどう防ぐか?
相手材にメネジを加工せず丸穴にオネジをねじ込むタッピングスクリューの場合、ねじ込み時に金属屑が発生しやすく、これが基板に落下すると通電不良(ショート)につながることがあります。この問題は構造上避けにくい面もありますが、タッピングスクリューに特殊なコーティングを施すことで、金属屑の発生そのものを制御できた実績があります。
もう一つ見落とされやすいのが、異なる金属を組み合わせた際に生じる電食(ガルバニック腐食)です。例えば亜鉛めっきのボルトをアルミパネルに取り付けた場合、亜鉛の犠牲防食作用が尽きると鉄素地が露出し、アルミニウムとの間で電食が進行することがあります。六価クロムを使用しないジオメット処理は耐食性・耐熱性に優れ、異種金属接触腐食の防止にも効果が確認されています。基板スペーサーそのものについては、ウィスカ対策としてニッケルメッキが有効とされる一方、めっき液がめねじ部分に入り込むと精度が悪化する場合があるため、めっきレスのアルミやステンレスを選ぶという判断も現場では行われています。
対策は単一の処理で完結するとは限らず、相手材や使用環境に応じて複数の処理を組み合わせる必要がある場合もあります。
小ロット・短納期・図面なしでも対応できるか?
開発初期の試作段階では、まとまった数量を発注できる先が見つからないというご相談も少なくありません。当社では量産を前提とした試作段階からのご相談を歓迎しており、数量が少ないうちは切削加工で対応し、数千〜数万個の量産フェーズに移行する際に冷間圧造へ工法を切り替えるといった、フェーズに応じたご提案を行っています。
図面がなく現物サンプルしかない場合も、現品を確認したうえで社内で図面を起こすことが可能です。必要機能や相手材の寸法をお伝えいただければ、構想段階からの設計支援も受けられます。ただし最終的な採用には現物勘合での検証が必要になる場合がある点にはご留意ください。
納期についても、試作から量産までの日数は材料・形状・工程によって幅がありますが、通常は2ヶ月程度、二次加工切削を伴う製品では2.5ヶ月程度を目安としています。製品によっては20日間程度で対応できるケースもあります。量産開始後は生産管理システムでリードタイムをデータ化し、前倒し納品などのご要望にも対応しやすい体制を整えています。
他社で「加工できない」「生産能力が足りない」とお断りされた案件についても、80社以上の協力工場ネットワークを活用することで、ワンストップでのご相談が可能です。
基板スペーサーの事例紹介
続いて、実際に当社が製作した基板スペーサーの製品事例紹介です。
工法転換による効果は抽象論ではなく、型番付きの実例で確認することが現場の成果を左右します。以下では、コストダウン率とあわせてご紹介します。
六角中ツバ両スペーサー
こちらは自動車用インバーター締結に採用される六角中ツバ両スペーサーです。中ツバの六角形状に対し、上下で異なるサイズとなっています。そのため、ねじ転造時の製品供給が難しいうえに、お客様のご要望により不完全ねじ部を極力少なくする必要があり、当社の転造技術を駆使した製品となっています。
当社では、1つの製品でサイズが違う製品を製造しています。独自の加工方法により、2工程かかる加工を1工程に集約し、製品供給数量の安定化を実現しています。また品質面でも妥協することなく加工を行っております。
基板用スペーサー(M5×P0.8)
こちらは自動車向けの基板用スペーサーです。先端がM5のねじ、頭部から製品中心部にかけてタップ加工でM4の雌ねじが施されています。
もともとは別の部品を2つ用いて基板との間にスペースを確保していましたが、お客様からの「部品点数を1つにまとめたい」というご要望を受け、本形状となりました。形状面での打ち合せを行い、本形状なら機能性にも問題がないことを確認・検証を行い、量産を開始した製品となっております。製品特徴として、ねじとしての役割と雌ねじとしての役割を両方を備えた製品となっています。製品の加工ポイントは、タップ加工の深さ+穴の径が小さいことによる切削加工技術の熟練度が重要となる点です。また転造加工においても、ねじ部が短いこともあり製品供給が不安定となるため、安定させるために機械側に工夫を施しております。
先端M5ねじ+中心部M4雌ネジの一体形状への統合に加え、六角バー材からの全切削を圧造+切削+転造へ工法転換したことで、約50%のコストダウンを実現しています。
クリンチングスペーサー

こちらは板金筐体内に雌ネジを設ける際に使用される、カシメスタッド式のクリンチングスペーサーです。一般的には全切削にて製作される製品のため、量産時でのコストダウンが期待できない部品でしたが、工法転換によるコストダウンのご相談をいただきました。
当社では、全切削から圧造+二次加工による工法転換をご提案し、当社の圧造+二次加工のネットワークをフルに活用することで、大幅なコストダウンを実現しています。
クリンチングスペーサー(SUS304圧入対応)

こちらは産業機械・電子機器向けのクリンチングスペーサーで、板金母材がSUS304の場合でも圧入可能な製品です。SUS304に圧入してスペースを確保したいケースに対応できる仕様となっています。
当社では規格部品の製造にとどまらず、複合加工技術を用いてお客様が求める異形状部品を製造しています。圧造加工にとらわれない柔軟な工法転換力とVE/VA提案力に加え、協力工場ネットワークを活用することで、このような高機能スペーサーの開発力向上につなげています。
よくある質問
Q. 基板スペーサーとネジの違いは何ですか?
A. ネジは締結が主目的ですが、基板スペーサーは基板間に一定の空間をつくり放熱・絶縁を担う点が異なります。
Q. 基板スペーサーの材質はどう選べばよいですか?
A. 導電性が必要なら真鍮、絶縁性重視なら樹脂、耐食性重視ならステンレスが目安です。
Q. 中ツバ付きの基板スペーサーは製作可能ですか?
A. 対応可能です。中ツバ形状は六角・四角など複数の形状に対応しています。
Q. 基板スペーサーのコストダウンはどの程度見込めますか?
A. 形状・数量にもよりますが、工法転換により約20〜70%のコストダウンが可能です。
Q. 基板スペーサーにはどのようなメッキが適していますか?
A. ウィスカ対策にはニッケルメッキが有効ですが、精度を重視する場合はめっきレスのアルミ・ステンレスも選ばれます。
Q. 異種金属接触による電食はどう防げますか?
A. ジオメット処理など、腐食電位差を抑える表面処理を組み合わせることで軽減できます。
Q. 基板スペーサーは何個から試作を依頼できますか?
A. 数個単位の極小ロットから相談可能で、量産フェーズでは工法を切り替えて対応します。
Q. 図面がなくても基板スペーサーの製作を依頼できますか?
A. 現物サンプルや必要機能をお伝えいただければ、図面起こしから対応可能です。
Q. クリンチングスペーサーのコストダウン事例はありますか?
A. カシメスタッド式のクリンチングスペーサーで、全切削から圧造+二次加工への工法転換によりコストダウンを実現した実績があります。
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基板スペーサーでお困りの際は特殊ネジ カスタム部品製造.comを運営しております太陽精工株式会社までお気軽にお問い合わせください。
◆特殊ネジ カスタム部品製造.comは、冷間圧造技術のノウハウと、オリジナリティ溢れる金型設計力、幅広い調達ネットワーク、そして積極的なVA/VEによる技術提案を行い、多種多様な特殊締結部品の製造を、試作開発から量産までトータルサポートさせていただきます!
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