ネジ・ボルトの強度区分の考え方について
ネジ・ボルトの強度区分は、材料の強度や耐久性を示す重要な指標です。用途や環境、目的に合わせて最適な強度区分のネジ・ボルトを選定することが、製品の安全性と性能を確保するために非常に重要です。
また、異なる強度区分のねじを併用する際には、最も弱いねじに合わせた設計と管理が必要です。強度の違いが大きい場合、応力の集中が発生し、破損の原因となることがあるので注意が必要です。
ネジ・ボルトの強度区分とは?
ネジ・ボルトの強度区分は、言葉の通りネジ・ボルトの強度や耐久性を示しています。使用する箇所、用途、目的、設計思想により求められる強度は異なります。必要な強度を確認の上、適切な強度選定が重要です。
また、強度区分はネジに使用している鋼材の種類、製造方法、熱処理の方法などにより左右されます。本記事では、鋼製ネジの強度区分について、それぞれの数値や推奨鋼種をご紹介いたします。
鋼製ネジの強度区分
強度区分を決定する上で、念頭においておきたいことが以下の3点です。
- 強度区分はネジの強度・耐久性を示す
- 使用する箇所・用途・目的により求められる強度が異なる
- 鋼材の種類・製造方法・熱処理方法によっても強度区分は変わる
その上で、鋼製のネジの強度ネジの強度区分は、
[3.6]、[4.6]、[4.8]、[5.6]、[5.8]、[6.8]、[8.8]、[9.8]、[10.9]、[12.9]
の10段階に分かれています。
記載されている数値のうち、左側の数値は引張強さを示し、右側の数値は引張強さに対する荷重につき、何%が降伏点にあたるかを示しています。
引張強さとは
引張強さとは、材料を破壊するまでの最大荷重(N)をネジ部の断面積(㎟)で割った値です。「10.9」のボルトの場合、「10」が引張強さ1000(N/㎟)を表します。「.9」は引張強さに対しての降伏点の比率で90%を表します。したがって、900N/㎟未満の荷重を考慮した設計が必要になります。
降伏点とは
降伏点とは、材料が塑性変形を開始する応力の限界点を指します。金属や合金などの材料において、降伏点を超えると材料は元の形状に戻らず、永久変形を起こします。
鋼製のボルト、小ねじの機械的性質 (JIS B1051抜粋引用)
鋼製ネジの代表的な強度区分
鋼製ネジの代表的な区分は下記の表の通りです。
強度区分 | 詳細 |
4.8 | 400N/㎟の引張強さの内、80%の320N/㎟以上の荷重がかかると伸び切り、元に戻りません |
8.8 | 800N/㎟の引張強さの内、80%の640N/㎟以上の荷重がかかると伸び切り、元に戻りません |
10.9 | 1000N/㎟の引張強さの内、90%の900N/㎟以上の荷重がかかると伸び切り、元に戻りません |
12.9 | 1200N/㎟の引張強さの内、90%の1080N/㎟以上の荷重がかかると伸び切り、元に戻りません |
アルミ(合金アルミ)ボルト・小ねじの機械的性質 (一部JIS B1051抜粋引用)
続いてアルミボルトの機械的性質について、表にまとめております。アルミの強度区分について、鋼製のボルトのどの強度に相当するかで、数値をまとめております。
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アルミボルトの製作事例紹介
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ヘクサアルミボルト(M6×P0.75)
こちらの製品特徴としては、従来は鉄材で使用されていた製品を提案し軽量化に成功した製品です。本製品の本来の使用用途・必要硬度を加味したうえでアルミを提案させて頂きました。アルミに変更するにあたっての課題である硬度ですが、HRB85~110での硬度実績がありますので・・・
十字穴溝入れボルト(M4×P0.7)
モビリティ向けのアルミ製すり割り溝入れボルトです。すり割り形状は、当社では圧造で加工しています。一般的にすり割り形状の製品は別工程で加工することが多くなります。しかし当社では、冷間圧造で加工しているため、品質の安定度が高まっております。
近年はすり割り形状の要望が少なくなっているため・・・
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